本書について(カバー宣伝文)
現代の医療には、誰もが希望と失望が混在した複雑な想いを寄せているに違いない。われわれは果たしてユートピアへ向かっているのだろうか、あるいは医療そのものを破綻させてしまう方向に向かっているのだろうか。今日、最新の治療技術、医療過誤や医事紛争、病院経営の破綻、医療財政の危機など、医療に関する重大ニュースが報じられない日はほとんどないが、そうしたニュース
の本質的な意味は、一般の目には必ずしも十分にはみえてこない。医療に関するテーマには例外なく、医学、政治、経済、倫理、法律などの問題が複雑に絡み合っているからだ。著者は本書において、アメリカが辿った医療改革の軌跡をこの上なく明快な筆致で解説しつつ、将来の医療テクノロジーがもたらす変化、医療制度のさらなる改革の行方を予測する。言い換えれば、本書のテーマは、1950年代から2050年代までの医学界における主な出来事ということにもなる。先端医療、政治経済、倫理・哲学、社会学など、あらゆる領域の動向を見据えながら、医療の根本問題に迫るスリリングな医学的文明論。
■著者/訳者について
ウィリアム・B・シュワァルツ 南カリフォルニア大学医学部教授。太平洋医療政策・倫理センター。南タフツ大学医学部長、アメリカ腎臓病協会会長、ランド・コーポレーションの医科学部プログラム主席顧問。共著に、「痛みを伴う処方:病院での治療の制限」(1984)。
わたらい・けいこ 翻訳家。東京都出身、上智大学文学部卒業。『複製sれるヒト』(共訳、翔泳社)、『クローン 是か非か』(共訳、草思社)、『「お金の達人」7つの教え(徳間書店)、『「顧客力」が世界を制す』(早川書房)ほか、訳書多数。
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